日商簿記1級勉強まとめ
とりあえず合格したものと考えて、合格に達するまでの勉強についてまとめてみる。
予備校の講座に通ったり通信を利用したことはなく、完全独学である。
1回目の受験で合格(仮)
○期間
H29.6-H30.6の約1年間
(仕事が原因で中断したH29.10-H30.3の半年間は何もやってないので実質的には半年間)
○総時間数
474時間
基本的には毎日朝3時半から4時に起きて時間の許す限り勉強。計算上1日平均2.6時間となるが、起きれなかったり仕事が忙しかったりで勉強できない日もあったので、机に向かうときには平日でも3時間はやっていたことが多い。
夜はほとんど勉強していない。
○使用教材(まともに使ったもの)
商会簿記の教科書1〜3
商会簿記の問題集1〜3
工原スッキリ1〜5(古い版のものを使っており、今の版は4分冊になっている)
TAC過去問集125-144
大原解答解説146-147
149回あてる
149回無敵の簿記
TAC網羅型H29
2級、3級のスッキリ
パブロフ商会理論アプリ
○勉強スケジュール
H29.6-7 テキスト読み、章末問題、問題集各2-3回し(累計200時間)
H29.8-9 過去問ひと回し、網羅型着手(累計330時間)
H29.10-H30.3 中断
H30.4-5上 再開。テキスト、章末問題、問題集(累計400時間)
H30.5中-6 あてる、無敵、過去問、総復習(累計474時間)
○勉強の流れと方向性
ベースはテキストと基本問題集。これを完璧に仕上げることを最終目標に置く。
これらを200時間で2-3回しした後、過去問を解いた。そしたら、意外と解けて、7割方合格点の70点を超えた。これで前記方針が間違いないことを確信。ただテキストにあまり詳しく載っていないが過去問で繰り返し聞かれている事項もあるのと、理論問題は意識的にやらないと身に付かないので、これらの点もやっていくことにした。過去問ひと回しまでで280時間。
過去問を解き終えたら、網羅型で初見問題への対応とスピードの訓練。はっきり言って問題の質が過去問とは全然違うので、予備校の問題集を完璧にする必要などない。極論を言えばやってしまったミスの確認と壊滅的な出来の問題以外は解き捨てで問題ない。
330時間で一旦中断することになり、半年ブランクからの再開後の70時間はテキスト問題集のやり直しで記憶喚起に費やす。ここまでで400時間。
それからあてると無敵の予想問題を解き、初見の過去問146-147回を解き、総復習をして474時間。
7割の確率で合格できるレベルに達するために必要だった勉強時間はおそらく300時間程度。これは実証ブログの人と同じ結論だ。
どんな問題がきても確実に受かるレベルに達するためには中断なしだったとしても400時間は必要だったと思う。
最終的には、テキストは5-6周しており、テキストの90パーセント以上の内容が身に付いたと思っている。
70点を取るレベルに達する勉強の内容としては、テキストと基本問題を最優先に。確実に受かるレベルに達するには、過去問での方向調整、意識的な理論対策を。
スピード対応や初見問題の対応のために予備校の実践問題を使う。
この優先順位を間違うと、たぶんいくら勉強時間を積み上げても受かる確率は上がらないと思う。
過去問や実践問題は解くだけではダメで、間違えた問題についてなぜ間違えたかをきちんと分析する。その意味では間違いノートを作るのは間違いが集約されるので効率が良い。自分がしやすいミスの傾向は確実に存在するので、それを潰していくだけで4点以上は変わってくるだろう。70点で受かる試験で、ミスを修正するだけで6パーセント近い点を得られるのはとても大きい。
また、間違えたり理解不十分の点はテキストの該当分野に直接書き込みをすると、テキストを読み返すだけで過去問などを解き直す効果も得られる。これだけ使う教材が増えてくるとできるだけ情報の一元化をした方がよい。ただ全部を一元化すると時間ばかりかかるので、そこはバランスの問題。テキストに「過去問第○回○問」といったリファレンスを書くだけでも一元化の目的を達していることもある。
電卓による計算ミスを減らし、スピードを上げるという点で、電卓の練習問題を毎日少しずつやるのは非常に意味があるだろう。勉強のとっかかりをルーチン化することで集中力アップも図れる。
最終的には利き手ではない左手で5本の指でブラインドタッチができるようになっていた。
○過去問の出題の意図について
日商簿記では、過去問の出題の意図と講評を出してくれていて、PDFにしてアップしてくれている。これは非常に重要な過去問分析のツールだ。相手が何を求めているか、その相手が自分で語ってくれているのである。こんなに親切な試験はそんなにないのではないか。
何がどんな意図で問われているのかを理解することは、何が出題されるかを予想して予想問題と心中するよりも、よほど普段の勉強や簿記力の向上に役立つと思う。
司法試験の論文の勉強においても、試験対策における最重要情報の1つが過去問の出題の趣旨だったし、司法試験予備校でもこの分析が大事だという指導をしてくれていた。相手が何を求めているのかわからない状態で闇雲に対策するよりよほど効率がいい。
簿記の試験勉強において、これまであまり意識されてこなかったように思うが、ここでは出題の意図の分析は過去問演習には欠かせないと強調したい。
実際、出題の意図では、簿記一巡の理解、個々の仕訳が具体的にどのように財務諸表に反映されるかの理解を問うていることが繰り返し明言されており、今回の149回の商簿や工簿はまさにそういう問題だった。
○テキストを理解することについて
テキストに書いてあるのは、表面上のことが多く、なぜそうなっているのか分からないことも多い。そういうときは、ネットで調べられる範囲のことは調べていた。簿記は色々な人が仕訳や解説をネット上に上げてくれているし、会計基準もネットで拾えるので、ネット情報にそれほど間違いがない。一応の理解ができるところまでは調べて納得し、分かったことはテキストに書き込んでおくといい。
例えば、
なぜキャッシュフロー見積法は利率減少後の利息と元本について減少前の利率で割引計算をして、その現在価値と元本の差額を貸倒引当金とするのか?
仕損の定点発生の非度外視法の両者負担では、なぜ加工費についても換算量ではなく数量で配分するのか?
など、勉強していて覚えにくいと感じたものは、そもそもどうしてそうなるのかが分からないからである場合が多い。
回り道のようでも、一応の説明が付けられるように調べておけば、忘れにくいし、間違えなくなると思う。
○総括
簿記会計の勉強は、テキストを読むだけでは不十分で、きちんと手を動かして実際に数字がどう動くのかを体感してしかないと身に付かない。
机に座らないとなかなかできない勉強なので、結構負担感のある勉強だった。
それでも続けられたのは、ちょっと難しい問題で数字が合ったときの脳汁が出る快感がくせになったからだと思う。社会人にとって、答えがあるものや答えがすぐにわかるものなんて日常生活ではそれほどない。
それに、簿記の勉強をしたことで数字への抵抗感がなくなったのは事実で、仕事にもいい影響が出ていると思う。
TACのテキストは言葉足らずも多く、いちいち自分で調べることも多かったが、それはそれでいい勉強になったし、過去問を解けるレベルまで向上させてくれたのは基本問題の出来がいいからだと思う。また、分からないときにネットで検索すれば答えがすぐに出てくる環境になっていることも本当に助かった。簿記会計の教育関係者や会計の実務家の方々には感謝したい。
家族そっちのけで勉強している時間帯もあったが、そこを暖かく見守ってくれた家族には低身低頭感謝しかない。
今後どんな勉強をしていくかは考えどころだ。
今のところ大商のビジネス会計1級や租税法に興味がある。
それについてはおいおい考えていこう。